きょうは、神保町シアターで「女優とモード 美の競演」という特集企画での上映ものを観にいってきました。この企画、スクリーンでの演技はもちろん、ファッションリーダーとして憧れの的であった女優さん、そして映画の中のファッションを中心にしたテーマ。
「ファッション女性上位時代」、「豪華絢爛!和装の美学」、「モダン東京ファッションの原点」、「そのファッションに女優ありて」という1週間ごとにことなるテーマで、3月いっぱい、数多くのすてきな作品が上映されています。

上映日程や作品はこちらを参考に
神保町シアター:女優とモード 美の競演

この企画では、数週間前に、動画でみつけて、「日本で、ここまでのミュージカルがあったとは!すてきすぎる!絶対観たい!!」と思っていた映画「君も出世ができる」(1964年上映東宝作品)が、まさにタイミングよく上映。普段、休日もあまりひとり行動はしないのですが、きょうは、まさにという作品、場所、予定だったので、ちょっと前から計画。念願の観賞となったのでした。

かなり好きにちがいないと胸はずませて、観るのを待ちわびていたのですが、期待以上にすばらしく、ほんとにすてきな作品でした!

東京オリンピックに沸く日本、外国からの訪日客をいかに獲得していくか、出世するには、などといった高度経済成長期の日本を感じる設定で展開されていくストーリー、そして、歌にダンスにユーモアにと、とっても楽しい作品(音楽:黛敏郎さん、振付:関矢幸雄さん、作詞 : 谷川俊太郎さん)。この楽しさ、わくわく感は定期的に必要かも、と。
ストーリー
(余談:ネット上では、劇中の社名が「千代田観光」となっているものが多いのですが、「東和観光」ではないでしょうか…なぜでしょう)

ストーリーの展開もテンポよく、冒頭のフランキー堺さんの朝の支度シーンからミュージカルとしてのレベルもとても高く、ユニーク。

女優とモードという点では、なんといっても雪村いづみさんのアメリカ帰りの社長令嬢らしいファッションがとてもすてき。そして、ミュージカルらしく、ダンサー含むほかの出演者のファッションもみずみずしくカラフル。衣裳担当は、柳生悦子さん。

柳生悦子さんは、専属という訳ではなかったようですが、三人娘もの、クレイジーキャッツシリーズ、若大将シリーズ、社長シリーズなど、東宝の人気シリーズの衣裳をてがけられていた方(このあたりの作品になじみのある方は、柳生悦子さんが手がける衣裳がいかに映画を楽しくカラフルにしているかはご想像いただけるとかと)。
先にふれたキネマ洋装店でも「君も出世ができる」のファッションはとりあげてらっしゃいます。
キネマ洋装店:君も出世ができる:アメリカ帰りの令嬢のファーマフラー

君も出世ができる:アメリカでは:
映画のストーリー全般に流れるテーマ、「アメリカでは」が劇中で最初に登場するシーン。
「ア~メ~リ~カでは!♪」



オフィス改革の新方針を歌う雪村いづみさん、社長、益田喜頓さんが歌うアメリカ体験、フランキー堺さんのパート、有島一郎さんと藤村有弘さんのかけあい、いいですね~。動画の4:10あたりでのペイントのシーンからカラフルに転換、アメリカ式を採用というカラーと衣裳での表現、目をひきます。4:50あたりのフランキー堺さんのドラムよし! 6:50での高島忠夫さんもw
そして、なんといっても社員の歌とダンスもすばらしいですね♪ こちら、かなり気になっていたので、きちんとクレジットをみてきました。出演は、ヴォーカル・ショップ、スタジオ、NO1ダンサーズ、劇団青年座のみなさんのようです。

この曲、「アメリカでは」は雪村いづみさん迎えてのPIZZICATO FIVEものも「さ・え・らジャポン」に収録されてますね。リスペクト的。
Pizzicato Five feat.雪村いづみ, デューク・エイセス - アメリカでは(YouTubeへリンク)

これぞ、日本のミュージカル!劇中では、ほかにもすばらしい曲がいっぱいでした。

高島忠夫さん「タクラマカン」:
「アメリカでは」のほか、高島忠夫さんの歌う「タクラマカン」も、くり返し使われし、重要なポジションですね。箱根でのパーティーを抜け出し、高島忠夫さん、雪村いづみさんが歌う「アメリカではVSタクラマカン」シーン、ちょっと調子はずれでドリーミーなロマンチックさが、すてきです(←先のキネマ洋装店でもこのパーティーの衣裳はとりあげてますね。とってもすてき。こんな感じのパーティー服も、まさに「アメリカでは」、特に数年前の好景気では、すこし仕事もからんだような招待パーティーなどで着る機会もあったのですけれど…日本のパーティーは、また少しちがいますね。たまには、着たいものです)
高島忠夫:タクラマカン(YouTubeへ)

フランキー堺さん「君も出世ができる」:
まさに、映画の主題である「出世」をテーマに歌うナンバー、「でき~るできるよ!君も出世ができる♪」。ストーリー展開によってかわっていく歌詞がまた、いいですね。ストーリーと詞の流れ、谷川俊太郎さんのすばらしさを感じます。

中尾ミエさん「いなかにおいで」
呑み屋の良子ちゃん役、中尾ミエさんが歌う「田舎、田舎、田舎においで~♪」、歌もやさしく。明るく純粋で、さわやかな役どころ。すごくいいです :)

映画「君も出世ができる」、めぐりあえてほんとによかったです!すばらしい!また観たいと思わせてくれる作品でした。
須川栄三監督は、このミュージカル映画製作にあたり、渡米し、ミュージカル研究もされたそう。出演者の方々、みなさん、すばらしく、そして、適役、東宝的でもあり。ジェリー伊藤さんも出演されてたんですね(冒頭クレジットで名前拝見して、どんな役なのかわくわくでした)。浜三枝さんの紅子もよいです。植木等さんも友情出演。パンナム、サントリー「トリス」などの協賛もよいですね。

君も出世ができる:製作・出演(敬称略)
オリジナル公開:1964年5月30日、東宝
監督:須川栄三、製作:藤本真澄、脚本:笠原良三、井手俊郎
音楽:黛敏郎、作詞:谷川俊太郎、振り付け、ショー構成:関矢幸雄
出演者:フランキー堺 (山川善太、東和観光社員)、高島忠夫(中井剛、東和観光社員)、雪村いづみ(東和観光社長令嬢、片岡陽子)、中尾ミエ(三田良子、呑み屋の女店員)、益田喜頓 (片岡信吾、東和観光社長)、浜美枝(服部紅子、社長愛人)、有島一郎(大森課長)、藤村有弘(総務部長)、十朱久雄(重役)、ジェリー伊藤(マクレガー)、沢村いき雄(バジャール)、二瓶正也(東和観光社員)、植木等(カメオ出演)、荒木保夫さん(サラリーマン)、ウィルソン夫妻(アーネスト&アリネスト・リクター)、ヴォーカル・ショップ、スタジオ、NO1ダンサーズ、劇団青年座、ほかたくさん。

定期的に観たいと思い、DVDなど探していたら、こんなBOX!
帰ってきた 東宝ゴクラク座 [DVD]』、「君も出世ができる」、「夢で逢いましょ」、「100発100中」、「100発100中 黄金の眼」がセットなのですね。悩ましいです…
そして、TOHO MUSIC WEB STOREではサントラも(自己メモさせていただきます φ(..*)
『君も出世ができる』オリジナル・サウンドトラック

神保町シアター企画上映「女優とモード 美の競演」:
以前からときおり拝見している邦画の映画衣裳、ファッションをテーマににした「キネマ洋装店」というサイトを運営されているたかぎさんも企画協力・作品解説・イラスト提供などでかかわってらっしゃってるのです。
ほかにも観たいのたくさんです。きょうも、ほんとは「おしゃれ大作戦」や「華麗なる闘い」もみたかったのですけれど。そして、これからも観たい作品がいっぱいです。
女優とモード 美の競演:上映作品

(投稿:日本 2011年3月6日、ハワイ 2011年3月5日)


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