きょうは、ずっとずっと観たかった念願の映画『赤い鳥逃げた?』を池袋の新文芸座で観てきました。
この映画を観るのが、原田芳雄さんの追悼というかたちになってしまったこと、とてもかなしいのですけれど、観ることができて、ほんとに、よかった…
これからもずっと思いだすようなとても印象に残る作品でした。



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新文芸座での原田芳雄さんの追悼特集は、本日が初日。
「日本映画アウトロー ぶっ飛ばせ 追悼・原田芳雄」と題し、きょう、9月17日から28日まで、毎日日替わりで2本づつ上映。
トークショーのある日なども。
新文芸坐オフィシャルサイト:日本映画アウトロー ぶっ飛ばせ 追悼・原田芳雄
作品・スケジュール(PDF)

原田芳雄さん出演の作品は、ほかにも好きな作品、まだ観たことがないけれど観てみたいと思っていた作品、ほかにもいろいろです。期間中、できれば、ほかの作品もみたいなぁと思ってます。

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「ずっとずっと観たかった」というつのった思いやこの作品自体のこと、そして、感じたことなど、ほんとにたくさんで、このまとめも、なんだか、きっとばらばらとした感じになってしまうのだろうなぁと思いながら、すこしづつ、印象に残ったことを。

まずは、簡単にデータから。詳細は参照サイトリンクで。
キャスト・スタッフ - 赤い鳥逃げた?
製作年 1973年
監督 藤田敏八
助監督 長谷川和彦
脚本 藤田敏八、ジェームス三木
音楽  樋口康雄
製作  東宝映画
出演 原田芳雄 (坂東宏)
大門正明 (南部卓郎)
桃井かおり (石田マキコ(マコ)本名:石黒京子)
白川和子 (中根不二子)
内田朝雄 (石黒雅彦)
キャストほか (こちらも適役よいなぁという方ばかり)

あらすじ:
1970年代の社会の変化、価値観、気ままさと行き場のないむなしさなどがおりまざったしたテーマで、宏(原田芳雄さん)、マコ(桃井かおりさん)、卓郎(大門正明さん)、3人の若者の姿を描いた作品。
宏は、かなりきなくさいことにかかわるアウトロー、卓郎は、その姿を追い。
マコは、卓郎の同居人でたくさんの曲をつくる自称作曲家(はじめはその素性をかくしている富豪の娘)。
あらすじ詳細

印象的だったのは、原田芳雄さんはもちろん、桃井かおりさん演ずるマコ。桃井さんは美しく完全にマコでした。
マコ、桃井さんご自身の通ってきた若い日々や生い立ちとも重なったり、自分がかつてもっていた抵抗などもあるのですこしわかる部分もあったり。なんだか、いままで観てきた映画の中のャラクターとして、とても好きな人物のひとりになりました。
戻りまして原田芳雄さんも宏そのもの、ときおりみせる表情がまた、格別に宏です。
卓郎(大門さん)と不二子(白川和子さん)の関係も、だましあいの中に、情とはかなさがあり、なくてはならない感じですね。終わりがまたなんともかなしく。

1970年代の東京(ちょっと横浜も)、自由な空気とストーリーをささえる樋口康雄(ピコ/ pico)さんによる音楽が、とてもすばらしい作品。そもそも、この作品に興味をもったきっかけは、出演者であると同時に、この映画のテーマ曲やサントラの影響が大きいので、まずは、そこから書いていきたいと思います。

『愛情砂漠』
作詞:福田みずほ 作曲・編曲:樋口康雄
歌詞

この映画で、一番印象に残ったのは、劇中でマコがつくったという設定の『愛情砂漠』でした。
いままでも、何度も聴いている曲ですけれど
この映画をみて、この歌が、またちがって聴こえてきています。

原田芳雄:愛情砂漠



この歌で、マコが映し出したかったのは、もちろん、男女の愛情についてでもあり、父への思いなのではないかと…。
このあたり、映画のストーリーがかなりからんでくるのですけれど、ちょっとしたいたずらの、父への淡い期待と複雑な思いからはじまるニセ誘拐事件、最後の3人の破滅。

「愛は愛でも、だましあい、けだるいふりをしてるだけ、いつになったらはたしあい」

マコの屈折した父への思いも感じられるような気がするのです。

「ひとの心は水玉模様、いつも丸くて、冷たいね。はじけ散るのは、夢ばかり」

「あれは自分の娘ではない」といわれたときのマコの気持ち、でも、父は、冷酷にいいわたすながらも、すべてしくまれていたこともわかっていて、もしかして、自由にはばたいているマコをそのままにしてあげようと思ったのではないか、とか、、いろいろと考えたのでした…(マコの父、コウモリ愛好家だったりするぐらいのひとですし…)

くるべきものが「はたしあい」ではなく「わかりあい」だったら、すべてはかわっていただろう、など。

映画の中では、原田芳雄さんがギターで歌っていたりするシーンもあるので、テーマとしては、原田さんのものがオリジナルですけれど、この安田南さんのヴァージョンは、まるでマコが歌っているような…そんな思い…



『赤い鳥逃げた?』
作詞:福田みずほ 作曲・編曲:樋口康雄
歌詞

映画の中で映しだされる1970年代の東京、自分がこどものころにいていた風景そのもので、とても心に残りました。
そこには、ちょっと不恰好でけっして美しくはないけれど、この歌からも感じるような「きれいな」な街や風がありました。
ここでの「まぶしい思い出」とは…「信じはじめたばかり」だったのは、なにかなぁなどと、思いめぐらせ、ストーリーをふり返り。



破滅にむかうラストシーンは、対照的な美しいチェンバロではじまるインストゥルメンタルで。
ハコスカ炎上。
(スカイラインだけでなく、映画の中の車にも注目でした。不二子のオープンカーも)



自問自答:なんだか、自分の中でくり返しみている作品は、こんな破滅のエンディングばかり…(数え切れないほどみている『気狂いピエロ』、『砂丘』など)。潜在的に、なにかあるのかなぁ、などと:D
→1960年代後半、1970年代はそういう時代なので、それはただ単に、その時代の空気や作品が好きだからであると。すこしの共感をもちつつ、あくまで客観的に観ることができるからなのでしょうね。ただ、そこにある理由やメッセージについて考えるのが好きなのかもしれません。

解釈:
ひとは、そうなる要素をだれしも抱え、そのひとつひとつをつぶして生きている(ここはラストシーンで、ひとびとが野次馬的に集まってくる、歓喜ともいえるような表情とか…)。
時代と若さの生んだむなしさと屈折。そのつぶすものや理由もなくなったときの破滅感というのがあるのでしょうか。
藤田敏八さんも、そういうものを描きたかったのかなぁ…など

劇中BGMはインストゥルメンタルものが中心で、そちらは、サントラに収録されているのですけれど、先にこちらをくり返し聴いていたので、映画をみて、そのイメージもかさなり、タイトルなども考え、さらにこのアルバムは愛聴作品となりそうです。きょうだけで、何回聴いてるかなぁ…

猫:
シーンでは、実際に猫がでてくるのではないのですけれど、「猫」なのでしょうね。なんとなくわかるような。
とても美しくやさしく、せつない響き。



あとは、PICO(樋口康雄)の『あのとき』やフォークル『帰ってきたヨッパライ』なども、飲み屋、および飲み屋街のシーンで。

あのとき
作詞:石川セリ 作曲・編曲:樋口康雄
こちらはは、PICO『abc』収録



サントラ収録曲:
メイン・タイトル/ マコのテーマ/ 旅の最中に/ 猟銃/ ビルディング/ 猫/ 赤い鳥逃げた?/ 山の手/ 愛情砂漠/ 宏のテーマ/ オレンヂ・ブリッヂ/ 封筒を開けたら/ 赤い鳥逃げた?(インストルメンタル)

『赤い鳥逃げた?』、また観たい1本の映画となり。今度はいつ観れるかなぁ。
いろんなことを感じたり、考えたりすることができる作品でした。

[あとでの気づき、愛情砂漠]

「ひとの心は水玉模様、いつも丸くて、冷たいね。はじけ散るのは、夢ばかり」

そういえば、きょう、意識したわけではないのですけど、帰宅の道で、「水玉」写真におさめてました。(←1970年築と思われる、マンションのレリーフ)
でも、この「いつも丸くて」までは同じだけど、とってもカラフルな楽しい「水玉模様」でした:)

「ひとの心は水玉模様、いつも丸くて、楽しいね…♪」でありたいと


(投稿:日本 2011年9月17日、ハワイ 9月16日)

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