ひきつづき、オードリー・ヘップバーンものからで、映画そのものというだけでなく、そうだったのねと気づいたことなどをすこしづつ。ひさしぶりに観た『麗しのサブリナ』からの気づきとひろがり。



1954年に公開された『麗しのサブリナ』(Sabrina)は、ハリウッドでのオードリー・ヘップバーン主役映画としては、『ローマの休日』に続く第2作目の作品、サミュエル・テイラーの戯曲『サブリナ・フェア』をビリー・ワイルダーが監督で、映画化したものですね。ハンフリー・ボガートとウィリアム・ホールデンという大物男優との共演作品。

解説・あらすじ:
麗しのサブリナ - goo 映画


オードリー・ヘップバーンのファッションやスタイルの流行との関係は、『ローマの休日』でもあきらかとなりますが、この作品では、さらに。そして、ファッション面をさらに意図してみせるつくりともなっている作品でもありますね。

この映画で、オードリー・ヘップバーンはサブリナパンツというファッション文化を生み出し、胸のあきがすくなめな黒のドレスでは、グラマーでなければいけなかったドレス・スタイルへの意識革命も。

衣装デザイナーのイデス・ヘッドはこの作品でアカデミー衣裳デザイン賞を受賞。そして、その後に、オードリーの生涯の友人となり、オードリー・ヘップバーン・ファッションにて、お互いの関係を築いていくことになるユベール・ド・ジバンシィが初めて、ドレスデザインを担当したことでも知られる作品(クレジットはでていないのですがいまではファッション・レジェンドとしておなじみですね)。

オードリー・ヘップバーンが若き大女優へと確実なステップをふんでいることがうかがえる作品であり、そのほかには、共演のウィリアム・ホールデンが、1981年に他界する直前、「生涯で最も深く愛した人は誰か?」とのインタビュー質問に「オードリー・ヘップバーンだ」とも語ったというエピソードなども。

音楽面に関してはメッセージであるような『La Vie en Rose』は、曲にもなじんでいたこともあり、そして、じっさいにオードリー・ヘップバーンが口ずさむシーンがあったりと、とても印象にのこっていたのですが



はじめて観たのは、かなり前で、映画館での観賞であったということもあって、気づかなかったことなども。

この曲、『Isn't It Romantic?』も、インストゥルメンタルでありさりげなくとも、ストーリーの中ではとても重要な曲なのですよね。

A beautiful scene from Sabrina - I love this dress

この一連のシーンは、オードリー・ヘップバーンが、あのジヴァンシーによる衣装のはじまりともなった、すてきなドレスを着ていることでもよく知られ、とても印象的な。パリ帰りのサブリナの魅力をみせてくれる、ダンスパーティー。
2:40あたりから。
パリへ発つまえ、憧れのデイヴィッドがほかのだれかと踊っていた曲だという、思い出をデイヴィッドの兄、ライナスに語り。ライナスは代理だよといいながらも、という。



当時は、この曲のタイトルなども知らず、ストーリーとしてキーとなっていることはもちろん理解してはいたのですけれど、そのままにすぎていたのですけれど、今回の観賞で、あぁ、この曲、『Isn't It Romantic?』だったのね、と。

あらためてだったのでした。長い時間がたったことで、それまでに聴いてきたカヴァー作品などでの知識もうまれ、やはり、映画はなんど観ても発見や気づき、さりげなくちりばめられてる要素やメッセージがあるのだとおもったのでした。

そこで、『Isn't It Romantic?』のことも気になりだしたりして。すこ調べを。

すると、この曲も、あのリチャード・ロジャースの作曲のものではないですか!
ちょっとアクシデンタルともいえるようなリチャード・ロジャースめぐりは、ここ数ヶ月におよんでいるのですけれど、こちらもだったのですねぇ。作詞は、長くコンビを組んでいたローレンツ・ハート。

以前にも、このふたりのコンビ作品について書いたもの:
The Supremes Sing Rodgers and Hart (アルバム) そして Rodgers and Hart のこと

この曲は、1932年のミュージカル映画"Love Me Tonight"「今晩は愛して頂戴ナ」(「頂戴ナ」という仮名つかいがすてきですね)に使われたものだったのですが、映画での使用は、製作の背景なども、かなり深いのですね。

なんだかおもしろいなぁとおもったので。メモ的にまとめてみることにしましたφ(..*)


まずは、最初に使われた映画である"Love Me Tonight"「今晩は愛して頂戴ナ」

LOVE ME TONIGHT:Isn't It Romantic?
まず、仕立屋のモーリスが歌いはじめ、それをお客が歌い繋ぎ、最後には、ジャネット姫に伝わって彼女が歌う、というストーリーにそった使われ方をされているそうです。



その後は、ジャズを中心にさまざまなアーティストにカヴァーされ、映画でも。
ただし、パラマウント作品にかぎられているのですね。
当時のことを考えると、なるほど、とここでやっと気づくわけなのですが、やはり、この時代は、映画・ミュージカルと曲の関係はとても密接なのですね。また、そのエンターテイメントビジネスでのさまざまな背景も。

プレストン・スタージェス監督の1941年作品、『レディ・イブ(The Lady Eve)』と1942年作品『パームビーチ・ストーリー(Palm Beah Story)』に。

THE LADY EVE:Isn't It Romantic?
バーバラ・スタンウィックとヘンリー・フォンダが出演



THE PALM BEACH STORY:Isn't It Romantic?
こちらはみどころシーンのダイジェスト編集のようになってる映像。



ビリー・ワイルダー監督作品では、この『麗しのサブリナ』のほかにも、1948年の『A Foreign Affair ( 異国の出来事 )』でも。ジーン・アーサーとマレーネ・ディートリッヒ、ジョン・ランドが出演の作品。

A FOREIGN AFFAIR:
『Isn't It Romantic?』が使われているシーンみつけられなかのですけど。



そして、こうしてたどっていたら、まただんだんと、この曲に対するおもいも深まり、これから、いろんなカヴァーを聴いていくのもさらに楽しみになりそうです。

チェット・ベイカーのヴァージョン、すてきですね☆
Chet Baker:Isn't It Romantic




(投稿:日本 2012年2月8日、ハワイ 2月7日)

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