楽譜を抱いて』の読後のいろいろつづき。まえにも、そんな風に書いたかと思うのですが、この本、ロミ山田さんの音楽生活、歌人生についてはもちろんのこと、アメリカと日本、ちょっと「アメリカ帰りのバタくさい女」の雰囲気(ご本人談:まわりにいわれていた)をもっていたからこそ体験された機会や当時の雰囲気というものを感じることができるのがまた興味のひとつであります。日本だけでなく、世界全体におこった60年代初期のインターナショナルなムーブメントもまだまだ知らないことがたくさんですね。

小規模な音楽祭としてスタートしたサンレモ音楽祭が数々のスターを生み出し、日本からも伊東ゆかりさんや岸洋子さん、世界各国からの参加者をむかえ最盛期でもあった1960年代はじめ。

そんな動きもあったんだぁと、はじめて知ったのが、RCAビクターがローマで開催したという音楽祭。1965年、その音楽祭に、ロミ山田さんは出場。この音楽祭の意図というかニュアンスとしては、アンチ・サンレモ・フェスティバル的なものだったのですね。ポール・アンカやニール・セダカ、ダリダなどをよんで、国営テレビでも放送。とても盛大なものだったようです。

この音楽祭の映像はさがしきれていないのですけれど、同年のサンレモというとこんな感じですね。大賞は、ボビー・ソロ (Bobby Solo) とザ・ニュー・クリスティー・ミンストレルズ (The New Christy Minstrels) -「Se piangi,se ridi」(邦題:君に涙とほほえみを)。

Sanremo 1965 - 12 Se piangi,se ridi - Bobby Solo

そういう動きなども考えると、サンレモの影響力などわかってはいましたが、やはりイタリアは音楽、殊にポピュラーミュージックでは重要な地であったのですよね、と。平岡精二さん作のロミ山田さんデビュー曲『煙草のけむり』が、日・米・伊で発売されたことなど、この音楽祭に参加する2年前ではありますけれど、イタリア語ヴァージョンに関して、あらためて、なるほどでした。

イタリア語ヴァージョンをふくめ『煙草のけむり』のことは以前にも書いているのですけれど→ロミ山田
本「楽譜を抱いて」にもデビュー曲経緯書かれていて知らなかったこともあったので、再度。

ドラマのタイトルは書いてないのでわからないのですけれど、初めは、日本テレビのドラマの主題歌として番組内で歌っていたものなのですね。「私は番組のなかで毎回、歌っていました」と文中にあるので、出演もされてたのでしょうか。これが評判よく、レコーディングをすることとなり。

「ちょっと火をかして頂けません?」(ライターの音)
「ありがとう」

そうか、だから『ARIGATO』。アメリカ盤のタイトルはここにも由来するのでしょう。

米国でも発売しようということになったのは、滞米中に好意にしてくれていたRCAの偉いひとに報告としてレコードを送ったことからだったとか。日本での音源そのままテンポを早め、ギターをたしたもの、ということで

先日みつけた動画、日本語だけど、前に、TV AGE講座「ヒットメーカーが語る作品誕生秘話:平岡精二さん特集」で聴いたときよりテンポもはやいと思ってたのです。ギターもはいっているしこれはアメリカ盤だったのですね(たしかにあっぷされてる方は日本の方ではないのです)。

Romi Yamada:Arigato

この米国発売があったあと、イタリアのビクターでも『ARIGATO (Non Avere Più Paura)』として発売することとなったということで、日米伊での発売は、同時に決まったものではなかったのですね。レコーディングはローマ。「Non Avere Più Paura」の意味は、「もう恐れないで」。

Romi Yamada:Non Avere Più Paura (1964)
Bonicatti-Latessa/Hiraoka [平岡精二]

日本でのB面である『にくいあなた』の作詞をされたのが、放送作家・脚本家で、その後、結婚することとなった岡田教和さんなのですね(その後、長い生活のあと別になられてます)。
海外盤でのB面などはどうなっていたのしょう。イタリアのものは『L'utimo Giro di Giostra』となってます。アメリカ盤もふくめ、そのあたりも興味。

また、海外の音楽祭のことにもどるのですけれど、1971年には、アテネ国際音楽祭にも出場しているのですね。こちらもやはり、アメリカでの活躍からくる、インターナショナルというイメージがあっての、なのでしょう。
『Her Name Was SAKURA 君の名はさくら』という服部良一さん作詞・作曲(作詞は別名でもある村雨まさを)のもので、服部良一先生からの指名で歌うことになったのだそう。

この曲はレコーディングされなかったようですけど、のちに由紀さおりさんが歌い、レコーディングされてますね。転調の感じがとても服部良一さんらしいです。

由紀さおり:君の名はさくら

(投稿:日本 2012年5月29日、ハワイ 5月28日)

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